| 1999年よりカナダ・トロントにてtomolennonとしてアート活動を開始。渡加前は本名にて日本で活動。
カナダ国内にて数多くの展覧会を開くほか、平行してキュレーション活動を行う。中でも「平和の為にアーティストとして何ができるか?」をテーマとしたチャリティー・アート・イベント「LET'S
HAVE A DREAM !」は多数の日本著名人の参加もあり、アート界のみならず平和活動家としても注目を集めた。トロントの2大情報誌「NOW」、「eye」の年間読者投票では、日本人では初のベスト・アーティストに輝く。
テーマ
“無理に元気付けるような絵は描きたくない。僕の絵は、疲れた時に見る鑑賞者と同じ温度で、ストレスを共有し、でもそっとしてあげられるような存在であればいい。”
彼の描く作品の多くは「都市生活による憔悴」をテーマとしている。日々の生活で、ストレスや悩みを抱え、それでも明日に向かって生きなければならない現代社会の悲哀を投影している。
技法について
“パステルはね、最もピュアな素材だと思うんですよ。顔料に最も近い純粋な色をそのまま画面に押し付けることができるから。それに乾くのを待たなくていい即興性が何より心地良いんですけど。”
ダークな画面の中にも、暖かさと希望を抱かせる彼の画面作りの秘密はパステルという素材の中にある。ソフト・パステルとオイル・パステル、全く違う素材であるから、本来であれば混合して使用することはタブーとされている。しかし、彼は独自のテクニックを用いて、ソフト・パステルによる淡い浮遊感と、オイル・パステルによる重厚な肉厚感を共存させることに成功している。保守的なカナダのパステル協会からも、この技法の第一人者として認識されるに至った。
展示へのこだわり
“僕の中で重要なのは、「生活の中にアートがある」ことです。コーヒーを飲んでる時や、食事をしてる時に、ふと壁をみたら僕の作品がある。僕の絵は美術館やギャラリーへ行かなければ見れない特別なものではなく、普段の生活の中に溶け込んでいてこそ意図が伝わる絵だと思う。”
彼の主戦場はギャラリーではなく、カフェやバー、レストランといった人々が日常的に利用する施設だ。言い換えれば、アート界ではなく一般の人々に向けて発信されている。現在トロントにて継続して開催されている「My
Favirite Oasis」シリーズは、tomolennonが「心地よい場所」を基準にセレクトしたカフェやレストランを廻る巡回展である。
アートを超えて
“存在意義って人それぞれですけど、アートから来た人間が最終的に、社会に対して何を残せるかが自分の存在意義だと思うんです。僕の武器は絵や表現ですけど、それを使って何をやるかが大事だと思う。”
STUDIO 2/ARTIC(トゥー・アーティック)は、「アートと社会の接点を、独自の視点で創出し、広げ、結びつける」ことを理念としてtomolennonにより、2001年トロントに設立された。自身の展覧会の他、日本の若手芸術家に海外の門戸を開いた“HYPE
TOKYO”、チャリティー・イベント“LET'S HAVE A DREAM!”など積極的に社会性のある企画を実現してきた。
インタビューを終えて、一人の人間として溢れるほど表現したいことがあり、同時にそれが社会に対して何をもたらすかを明確に自覚している彼を、画家としてでなく改めてアーティストだと実感した。それは彼から湧き出るパワーとクリエイティブ意識が、過去に出会った多くの巨匠達から感じたものと同様であったからだろう。
text by Youichiro Akao (Art
Critic)
|