村上 隆

アーティスト
Apr 2002


今、最も海外で評価されている日本人アーティストである村上 隆氏の特別インタビュー。去る2月14日にハーバーフロント・センターにてレクチャーを行い、沢山の観客が詰め掛けました。展覧会ではなく、講演会でこのように大勢の注目を集めたということでも、村上氏の評価の高さを実感しましたね。尚、村上さんは風邪(痛風?)だった為、体調は最悪でした(笑)

 

 

TOMO レクチャーお疲れ様でした。トロントは初めてですよね?時間無かったと思いますけど街の印象は?

村上 寒かったです(笑)。あと、もっといたかったですね。

TOMO トロントはカナダで最大の都市で、N.Yにも立地的に近いのですが、観客の反応などを見て何か違いを感じましたか?

村上 新聞に真面目なレヴュ−が出て、展覧会ならまだしもレクチャーショウでレヴュ−っていうのも物凄くアートに感心がある街なんだなと思いました。

TOMO レクチャーではもっと“Super Flat”論についての理論的な解説があると思ってましたけど、割りとあっさりしてましたね?(笑)

村上 そう?体調悪かったからな〜。すみませんでした(笑)

現在の村上 隆への評価は、絵画の表現自体の力もありながら、同時に“Super Flat論”という独自の理論の展開にある。つまり理論的に裏付けがあるからこそ、その独創性が一層引き立っているのだ。簡単に言えば、視点がない・奥行きがない・階層的構造がない・中心となる対象がない・内面がない…。しかし、視線が複数あり、しかも全てに焦点が当たっている。それが運動を生み出し、空間を支配している。というのが“Super Flat”論の根本である。

TOMO そういった、村上隆=Super Flatという定着したイメージがあることについては?

村上 そのうち無くなって行きますよ、それは。

TOMO かつての浮世絵が印象派に大きな影響を与えて以来、日本人がアートの歴史に足跡を残したとSuper Flat 村上隆に対する評価があります。つまり浮世絵の日本から数百年、やっと最新版が届いた。という感覚でしょうか。 ご自分から見て浮世絵の後継者というのは全くお門違いですか?

村上 僕が後継者っていうんじゃなくて、アニメーターや漫画家が後継者ですよ。

TOMO 村上さんのショウやキュレイション活動を見ていて、そのベクトルがサブ・カルチャーに支えられた大衆へ向けられてるという感じがします。そういった感覚がありますか?

村上 え?僕の作品は高額で大衆向きとは思ってないっすよ。アニメや漫画、特撮、TVのカルチャーの中にクリティカルな物を発見し、アートと言う名の学問、ビジネス、歴史に新しいピンをプチっとさしてる、、てかんじで活動していますね。

更に村上は、海外でのブレイクを機に再び日本へも目を向けた。若手の作家を発掘し、世に送り出すプロジェクトや、自身の工房を行程化し、従来の“画家のアトリエ”状態から逸脱する新たなシステムを創りあげた。

TOMO 僕は始めから日本でアートを追求するのを拒否し、こちらへ来てしまったじゃないですか? 何故なら日本はアートなんて必要としていないと感じたから。泥地を畑にするには、土を変え肥料をやり、ひたすら耕さなければいけません。それなら最初から畑がある所に行こうと考えたわけですよ。しかし、村上さんは海外での成功を手にし、こちらへ来てしまえば楽なのに必死に日本の土を耕している。これは何故ですか?

村上 日本人だからです。日本と海外では当然プレゼンテーションが変わってくるけど、どっちも自分の本質を反映してると最近は言えるしね。

TOMO 僕は最近、あたらしい作品の発表手段を模索してるんですけど、例えばCDや本が発売されるように、アートにも全国一斉発売日があって「トモレノンの新作○月×日On Sale!」みたいに誰でも手軽に入手できるような新しいフォーマットを創りあげたいんですよね。今後のアート界における新たなメディアとは何だと思います?

村上 販路の検索じゃない!?でもさ、さっき言った通り僕の作品は高級品だから、販路を広げる事はせずともこのままでいいのよ。僕自身はね。ただ難しいよね、それ(販路の拡大)は。

TOMO 最後に、どうしてもアートに対して敷居の高さを感じてしまう人々に対して一言。

村上 なにもありません(笑)

TOMO 無いんですか!!(笑)ありがとうございました。


淡々としているようで力強く、的を得ている回答に現在の村上氏の”強さ“を感じました。一言でアートと言っても、様々なスタイルと表現手段があり、同時に歴史と共に存在します。見る側からすれば「好き」「嫌い」で片付けてしまえば良いのですが、村上氏の作品にはそれだけでは答えにならないような存在感があります。それは私よりも、皆さんのように現代という時間を肌で感じて生活してらっしゃる方々のほうが、より実感しているのではないかと思います。

 

村上 隆HP
http://www.kaikaikiki.co.jp/

Mini Bio−
東京芸術大学美術学部日本画科卒業
東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了(MA)
東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了(PhD)
2001『Kaikai Kiki2』 Gallery Emanuel Perrotin(パリ/フランス)
2001『Superflat』MOCA Gallery, thePacific Design Center,(L.A./U.S.A)他多数

取材のために協力してくださったKaikai Kiki Co.のGen Watanabe氏に感謝の意を表します。